結論から先に言うと、漢方薬には、睡眠薬のように睡眠を誘発する効能はありません。
ただし、興奮して眠れない人に気分を落ち着かせる為の処方をする等、不眠の原因が分かってさえいれば、その原因を解消することで、睡眠に誘導する為の処方は可能です。
以下、漢方薬のメリット・デメリットを把握した上で、実際に不眠対策に有効と思われる漢方薬の紹介をしていきますので、ぜひ参照ください。
漢方薬を使うメリット・デメリット
メリット
漢方薬は、「体の自然治癒能力を高めることで症状の改善を図る」という特性上、症状の原因がはっきりと分からない場合でも、症状を緩和させる事が可能なことがあげられます。
また、自然物質を元に作られており、副作用の危険性が比較的低いと言われています。
デメリット
漢方には苦味や臭みがあるものが多く、飲みにくい事があげられます。
また、西洋薬と比べて、効果・効能が現れるまで時間がかかる事も比較的デメリットと言えるでしょう。
実際に不眠症対策に用いられる漢方薬
まずは、自分の症状が虚証・実証・虚実混合証のいずれなのかを判断しましょう。
(漢方治療のできる医師に診察を頼むのも良いでしょう)
実証とは、有害物質等、外からの影響によって体の機能が低下した状態。
虚証とは、本来の生命力や抵抗力が弱まって体の機能が低下した状態。
虚実混合証とは、虚証と実証が共に現れている状態。実錯雑証、中間証と呼ぶこともある。
自分の状態が分かれば、以下で上げるような漢方を購入し、継続的に飲用しましょう。
(情報参考:漢方のツムラ)
以下「状態例」にある「体力中等度」とは「日常生活に差し当たりない体力」を意味します。
実証の不眠治療に用いられる漢方薬
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
状態例:体力中等度以上で、のぼせ気味で顔色が赤く、いらいらして落ち着かない傾向がある時。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
状態例:体力中等度以上で、精神不安があって、便秘などがある時。
三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)
状態例:体力中等度以上で、のぼせ気味で、精神不安、みぞおちのつかえ等がある気時。
虚証 or 虚実混合証の不眠治療に用いられる漢方薬
加味帰脾湯(かみきひとう)
状態例:体力中等度以下で、心身が疲れ、血色が悪い時。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
状態例:体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすい、精神不安などがある。
帰脾湯(きひとう)
状態例:体力中等度以下で、心身が疲れ、血色が悪い時。
酸棗仁湯(さんそうにんとう)
状態例:体力中等度以下で、心身が疲れ、精神不安などがある時。
抑肝散(よくかんさん))
状態例:体力中等度を目安として、神経が高ぶり、怒りやすい、イライラ等がある時。
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
状態例:体力中等度以下で、冷え症、貧血気味、神経過敏などがある時。
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